単身介護問題

(*N大学運営SNSの筆者アカウントへの投稿を一部編集し掲載しています)


 今から8年前の資料に接して思うところがあった。当時、単身で親の介護をするために離職・転職した方が14万4800人に達したという(平成19年厚労省公表)。

 その原因には、現行の介護保険制度が実生活に即していない点にあることが専門家から種々指摘されていたし現在にも当てはまる。そしてこの利用しづらい制度の原因になっているのが、小泉構造改革で推進された介護予算削減にあると指摘する専門家は多い(介護報酬削減は20032年から2008年の間で4.7%に及んでいる)。

 介護保険制度が充実していれば、地域の種々な社会資源を利用することで仕事をしながら親の介護・看護を続けることは可能だ。しかし実際には、単身介護者にとって最も利便性がある小規模多機能型居宅支援サービス事業者は、全国的に見ればまだ不足している。また、存続していたとしても、2017年の現在でも介護報酬削減政策の煽りを受けて、どこも赤字経営に陥っているのが実情だ。懸命に良質な介護を提供すればするほど赤字に陥る。

 在宅介護や看護のために職に就けず、日々機能が失われて行く親を一人で介護、看護している人々の生活と気持ちを直視することのない霞ヶ関のキャリア官僚と学識経験者が、机上の数字を動かすだけで介護制度を再構築している現状は、本末転倒に思われてならない。逆立ちしたこの現実はいつまで続くのだろうか。


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